2015年6月18日木曜日

<裁判員裁判>「説明分かりづらい」国選弁護の技術アップへ

 裁判員裁判の国選弁護を担当する条件に、法廷弁護技術の研修を義務付ける取り組みが、都市部の弁護士会を中心に広がっている。制度開始から6年が経過した今も、裁判員から「弁護側の説明が分かりづらい」との指摘が出ていることから、技術を磨き、質の高い弁護を提供する狙いがある。

  第二東京弁護士会は4月から、裁判員裁判を受け持つ国選弁護人名簿の登録要件を厳格化。実際の裁判員裁判の弁護を経験していない場合、年に1回は研修を受けなければ名簿から外すようにした。

 背景には、弁護士の技術に対する低い評価がある。最高裁が実施した裁判員経験者へのアンケートでは、弁護人の説明を「分かりやすい」とした回答は制度開始から3~4割前後で推移したまま。同弁護士会内でも「プレゼンテーションで検察官と弁護人に差がある」など否定的な意見が目立つという。

 5月30日に開かれた研修には、若手を中心に弁護士15人が参加。グループごとに強盗致傷事件の裁判員裁判を想定して冒頭陳述や証人尋問を行い、その様子をビデオ撮影した。

 参加者の一人で昨年12月に弁護士登録した中里幸生(ゆきよ)弁護士は「ビデオを見返すと足りない部分ばかり。法廷でどう見られるのか意識できた」と話した。講師を務めた神山啓史(ひろし)弁護士は「国選弁護人制度では被告は自由に弁護士を選べない。弁護士に一定の技量を保障しないと不公平が生じかねない」と意義を説明する。

 大阪弁護士会も研修を実施し、猶予期間を設けて2017年度から義務化する。福岡県弁護士会は昨年7月から、弁護人が複数選任される事件では研修を受けた弁護士が1人は加わることにした。

 一方、千葉県弁護士会は13年4月から、新人弁護士が名簿登録する際の研修を義務付けたが、新人以外の義務化は見送った。会内で意見が一致せず、ベテランの経験を尊重した形だが、同会の菅野亮弁護士は「口頭中心の裁判員裁判ではベテランが優れているとは限らない。研修の範囲をいかに広げるかが課題だ」と話す。

 日本弁護士連合会刑事弁護センター委員の後藤貞人弁護士(大阪弁護士会)は「被告の権利を守るには優れた技量が必要で、弁護士会には研修を実施する責任がある。受講率を上げることと、講師を育てることが重要になる」と指摘する。

参照:毎日新聞

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