2015年4月30日木曜日

JASRACは「市場参入妨害」 音楽著作権管理で最高裁判決

 テレビなどで使う音楽の著作権管理事業をめぐり、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の使用料徴収方式が他業者の新規参入を妨げているかが争われた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)であった。同小法廷は「JASRACは他業者の参入を妨害している」として、東京高裁判決を支持し、公正取引委員会の上告を棄却する判決を言い渡した。5人の裁判官全員一致の意見。

  業界シェア99%前後を誇るJASRACの方式が独禁法違反に当たるかについて、最高裁は要件の一部しか判断しておらず、今回の判決でJASRACに方式を改める義務は生じない。判決では、独占禁止法違反ではないとする審決のやり直しを公取委に命じており、公取委は今後、別の要件を検討し独禁法違反の可否を判断する。

 問題となったのは、JASRACがテレビ局やラジオ局と結ぶ包括徴収方式。今回の訴訟の原告で新規参入した著作権管理会社「イーライセンス」(東京)は管理楽曲の利用に応じて個別に使用料を受け取るため、局側にとってはイー社管理楽曲の使用が新たな負担になる。

 最高裁は圧倒的なシェアなどを考慮し「JASRACの方式は他業者の管理楽曲の利用を抑制している」と判断。「市場支配力の維持や強化のため、正常な競争手段を超えてあえて、包括徴収方式での事業を行った」と指摘した。

 イー社代理人の越知保見(やすみ)弁護士は「独禁法違反にあたることがほぼ証明された。公取委の迅速な判断を求める」と話した。JASRACは「包括徴収方式は著作物の円滑な利用と著作権保護を両立させる合理的なもので、私的独占に該当しないと引き続き主張していく」とコメントを出した。

参照:産経新聞

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