2015年3月24日火曜日

弁護士が教えるめんどうな人の対処法―しらばっくれる人、先送りにする人…どう付き合う?

「本当はすごくないけど、褒めないとめんどうなことになりそうだから褒めておこう」「いろいろ言いたいことはあるけど、反論したら時間もかかりそうだし、やめておこう」……あなたは、言いたいことを飲みこんでストレスを抱えた人生を送っていませんか?  弁護士・石井琢磨さんの著書『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』(総合法令出版)から、ストレスなく周りの人とつき合う技を3日間にわたって紹介していきます。1日目の記事はこちら。

●めんどうな人その3・だらだらと先送りする人 相手に先送りされ続けているとき

●期限を伝えることで、人は動く

 仕事を意味もなく先送りする人は多い。1週間前は「来週には連絡します」と言っていたのに、連絡がこない。督促すると、「なるべく早くしますから」と、とにかく先送りすることを考える。このような人に対して、「お願いしますよ~」と頼むだけでは、次回も先送りされる確率が高い。これでは効果がないと、あなたも薄々気づいているはずだ。このお願いは、上司に「督促しておきましたよ」と報告するためのアリバイ作りということはないだろうか。何度も先送りと督促を続けるやりとりは無意味である。

 何度か続いているなら、「前もそう言いましたよね?」と過去の発言を取り上げ、今回できなかった原因を探るべきだ。対策を立てるには、原因を特定しなければならない。

 たいていの場合、大した原因ではない。単にだらけているだけのことも多い。そのような場合には、期限を明確に決めるべきだ。

 人は、期限を設定されたほうが、動く確率が高まる。

 弁護士が代金の請求を内容証明郵便で送るときには、「なるべく早くお支払ください」とは書かない。「本書が到達してから5日以内」のように期限を書く。そのほうが、受け取った相手も動きやすいからだ。もちろん配達証明つきで送るので、「到達した日」も具体的に特定できる。

 債権回収会社の督促でも、同じように期限が書かれている。「回答期限:平成26年12月10日」「平成27年2月10日を過ぎた場合には法的措置をとる」のように具体的に書かれている。そのほうが、支払われる確率が上がるからだ。

 このような督促状を手にして、あわてて法律事務所に相談に来る人も多い。「明後日までに回答しないといけないんですけど」と期限を意識している。

 クーリングオフのように法律でハッキリと「○日以内」と決められているものは守らないと大変なことになるが、督促状に書かれたような期限は、相手が勝手に決めたものであり、そこまで気にする必要はない。それでもあわてる人が多いのは、期限を具体的に決められると、守らないといけないと勝手に思い込むからだ。

 したがって、物事を進めるうえで期限を決めることは極めて大事である。大事なことを、あいまいにしてはならない。「なるべく早く」「できる限り」「この仕事が終わり次第」では、何も決めていないも同然である。何日なのか、何時まで決めなければならないのか、具体化しなければ意味がない。

 もちろん、上司から「なるべく早く頼むよ」と仕事を頼まれたシーンでも、具体化しないと後で揉める。1時間後に、「なるべく早くって言ったじゃないか」と怒られることすらあるのだ。理不尽だと感じるかもしれないが、期限をハッキリさせることを怠ったあなたにも落ち度がある。

 期限の具体化はお互いのためでもある。先送りするだらけた相手は追いつめなければ動かない。遠慮なく、具体的な期限を決めればいい。それでも動かなければ、たまたまダメな相手とつき合ってしまったと理解し、きちんと期限を守る相手を見極める力を磨くことだ。

●めんどうな人その4・しらばっくれる人 相手が、前言をしらばっくれるとき

●ハッタリには「記録」が効く

 明らかに言ったはずの発言を「言っていない」と言い張る人がいる。このタイプには2種類いる。勘違いと確信犯だ。

 警察の取り調べで何度も同じことを言われると、それが真実だと思い込んでしまう。ウソのように聞こえても、フタを開けると勘違い、記憶違いのことも多い。

 これに対して、ウソとわかっていながらウソをつく確信犯もいる。

 ある不倫裁判の法廷で、不倫相手として訴えられている女性が証言した。

 2人の間では、肉体関係を匂わす多数のメールがやりとりされていたのにもかかわらず、彼女は証言台で堂々とウソをついた。そこで、これを突きつける。

 わかっていてウソをつく人は、証拠を突きつけられても矛盾しても、堂々とウソをつく。そんなウソに「そうでしたか……」と引き下がっては、相手の思うツボだ。

 「言ったはずだ」と明確に主張するのも一つの方法だが、言った・言わないの水掛け論になる可能性が高い。

 悪質業者相手の会話では、ウソを防ぐために録音するのが基本である。

 しかし一度、機械のトラブルで録音できなかったことがある。相手が「言っていませんよ」としらばっくれてきたのでどうしようかと考え、「こっちでは記録してますけど?」と言ってみたら、「まあ、そう言ったのはですね……」と、発言を前提に言い訳を始めたので助かった。録音に失敗した以上、「録音」とは言えなかったので、「記録」という言葉を使った。会話内容はメモをしているので、これも記録であり、ウソはついていないのだ。ウソにならないハッタリである。

 このように、ハッタリでも証拠の存在を匂わせることで、勘違いと確信犯を区別することができる。勘違いの人は、証拠があると思い込んで記憶を探る。確信犯は証拠を気にしない。相手を分類した後、勘違いには、真実の記憶を喚起する作業に移る。これに対して、確信犯的なウソつきは、相手にすべきではない。まともな会話にならないから、その発言は話半分で捉えるようにすべきだ。

参照:日経ウーマンオンライン