2014年6月24日火曜日

司法取引導入 法制審答申へ 可視化と“交換” 捜査の武器に

 法制審議会(法相の諮問機関)の刑事司法制度特別部会の議論で23日、容疑者が捜査に協力した見返りに検察が起訴を見送ることなどができる「司法取引」が法制化される見通しとなった。その背景には、取り調べの録音・録画(可視化)導入が不可避の流れとなる中で、供述証拠の収集が困難になることを恐れた捜査機関側が新たな“武器”として導入を期待しているという事情がある。

  検察は、すでに裁判員裁判対象事件や独自事件で可視化を試行。「裁判での立証に使える」との意識は浸透していたが「可視化だけが導入されれば、デメリットしかない改革になる」(幹部)との抵抗は強く、捜査の新たな「武器」を得るのは最重要課題だった。

 しかし、法制審の特別部会では、裁判所や弁護士出身委員から、「自分の罪を軽くするため、別人に罪を負わせる“巻き込み”供述が行われる可能性もある」との疑問も出されていた。

 また、犯罪被害者や遺族の反発も強く、被害者団体関係者は3月の特別部会でも「犯人と取引するような捜査機関は信用できない」と厳しく批判していた。法務省はこうした要求に配慮し、対象から殺人などの重要事件を外して一定の事件に限定するなどとした試案を提示した。

 法務省の試案では、司法取引制度は3類型が提示されている。

 共犯者らの犯罪を知る容疑者らが、取り調べに対してその犯罪事実を話す代わり、この容疑者の罪について不起訴にするなどの「協議・合意制度」については、捜査機関出身委員は「供述を得る方法を多様化するのに有効」「偽証がなくなる」と賛成する。

 一方、「刑の減軽制度」では、裁判所出身委員から「自首にも当たらず、制度を設ける必要性が乏しい」という意見が出されている。「刑事免責制度」では、弁護士出身委員らが「黙秘権の放棄の強制だ」とする一方、「証人は責任を免れるのだから不利益を課すものにならない」とする捜査機関出身委員の意見が対立。3類型ともまだ議論が尽くされたとはいえない。

参照:産経新聞

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