2014年4月8日火曜日

主婦から転身 関西初の女性弁護士が回想録

 関西初めての女性弁護士として、87歳となった今も弁護士活動を続ける芦屋市在住の佐々木静子弁護士(大阪弁護士会)が回想録「命もやして」を出版した。主婦から転身し約60年。身近な暮らしの問題から冤罪(えんざい)事件まで、弱者に寄り添い続けた半生を振り返った。

  弁護士を目指したきっかけは、終戦直後に見た古新聞の記事だった。薪の代わりにたき付け用としてもらった新聞記事には「憲法草案」として「男女平等」「戦争放棄」が高らかにうたわれていた。

 家族が寝静まった後、むさぼるように読んだ。「やっと自由に生きられる。社会のために働きたい」。新しい時代が来たことを確信した。

 既に結婚し、子どもが生まれたばかりだった。それでも幼子を抱えながら独学で司法試験に臨み1度で合格。1955年、近畿2府4県で初めての女性弁護士の誕生だった。開業したその日から、相続や離婚問題などに悩む女性らから次々に依頼が寄せられた。

 佐々木弁護士の名を全国にとどろかせたのが、51年に山口県で老夫婦が殺害された「八海(やかい)事件」。弁護団事務局長を務め、死刑判決などを受けた男性被告4人の事件当日のアリバイを裏付け、無罪を勝ち取った。以降、18件もの冤罪事件を手掛けた。

 71年には、女性の地位向上や権利保護を訴えるため、参議院大阪選挙区から立候補し当選。1期6年、民法改正などに尽力した。

 3年前に体調を崩したが、今も大阪地裁近くの事務所に通い、社会的弱者らの相談に乗る。

 「体が動く限り、人の役に立ちたい」

 生涯一弁護士。本のタイトルにはそんな思いも込められている。潮出版社。1620円。

参照:神戸新聞

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