2013年9月6日金曜日

年収200万円弁護士、依頼を求めて町から町へ

難関試験を突破するために、多くの時間とお金を費やした「士業」の先生方は、今、悪夢の真っ只中。報酬単価は下がる一方、新規の顧客もなかなか取れない。資格さえ取れば一丁上がりも、今は昔。彼らの窮状を覗いてみた。

【弁護士:年収200万円】

◆依頼を求めて町から町へ、流浪の弁護士は今日も開店休業状態

「開店休業状態ですね。仕事は月に2~3件程度でしょうか」

 と語るのは、中部地方の田舎町でひっそりと弁護士事務所を開いている山村仁氏(仮名・55歳)だ。

 サラリーマン生活を経て苦労の末、30歳で司法試験に合格。時はバブル、イソ弁(事務所に雇われている弁護士)といえども年収は1000万円を超える年もあった。満を持して30代半ばで独立開業したものの、山村氏は「人生は今も右肩下がり」だと嘆く。

「開業さえすればバラ色と思っていたのも事実です。ですが、看板さえ出せば依頼人が来るってもんでもないんですよね。今はもう、仕事がほとんどないんです。刑事事件の国選弁護案件も取り合いで、なかなか回ってきません」

 山村氏は関西地方の有名私大を卒業後、大阪で就職。その後、弁護士としてのスタートを切って、独立したのも大阪であった。

「もともと人付き合いが苦手だったので、ほとんど“営業”はしませんでした。だから、お客さんもほとんど来なかった。結局、大阪で仕事をしていくのが嫌になって、地元に近い愛知県に移ったんです」

 すると、地元のよしみで何件かの依頼が舞い込むようになり、なんとか仕事も軌道に乗り始めたかに見えた。しかし“オイシイ”状況は、ほんの2年ほどで終わってしまった。なぜか? そのワケを山村氏に近しい人はこう説明する。

「私も何人か紹介したんですが、みんな継続して仕事をお願いしないんです。気の利かない性格や会話の少なさが災いしてると思うんですがね……」

 だが、ここで山村氏は機転を利かせて攻めの姿勢を取る。弁護士のいない過疎地域にあえて開業したのである。

「弁護士のいない過疎地域で開業すると“オイシイ”と同業者から教えられて、中部地方のとある過疎の町で開業しました。件数は少ないものの私の独占状態でしたから、それなりに仕事は来ました。でも、結局、3年ほどで仕事がなくなり、別の過疎の町に移転しました」

 その後、山村氏は破たんしかけると新しい土地を求めて彷徨うこととなる。

「消費者金融相手の“過払い訴訟バブル”の頃が最近じゃ一番オイシイ時期でしたね。でも、これもバブルが一段落して、おまけに司法書士がかっさらっていったから、もう、ほとんどないですね」

 気づけば5回目の転居を迎えた山村氏。現在の収入を聞いてみた。

「去年の年収は、事務所やらの経費を差っ引いて200万円くらいですね。親の遺産と息子たちからの仕送りで食いつないでます」

 最近は老後が不安のため、どこかでイソ弁をしたいとまで漏らす山村氏。だが、もちろん就職活動などはしていない。日がな一日、読書三昧の生活だという。

参照:週刊SPA!

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