2013年7月26日金曜日

後輩を叱る どこからがパワハラ?

「最近の新入社員は、ちょっと叱るとすぐにパワハラと騒ぎ出す」なんて話を聞くことがあります。「パワハラ」という言葉が一般的になったせいかもしれませんが、ちょっと叱ったくらいでパワハラと言われたのでは、上司としてはたまりませんよね。でも、仕事について叱責しただけで、本当にパワハラとなってしまうことはあるのでしょうか?

パワハラや職場いじめに関しては、平成24年1月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」が一定の基準を示しています。

そこでは、パワハラの典型例として以下の6つが挙げられています。

(1)暴行・傷害(肉体的な攻撃)
(2)脅迫・名誉棄損・侮辱(精神的な攻撃)
(3)隔離・仲間はずし
(4)遂行不可能な業務の強制
(5)仕事を与えないこと
(6)私的なことへの立ち入り

同報告によれば、パワハラとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」のこと。何かしらの優劣関係があれば、「部下から上司へのパワハラもあり得る」とされている点が興味深いところです。

では、ここで最初の問いに戻りますが、仕事に関して叱ったくらいで本当にパワハラになってしまうのでしょうか? 

まず、暴行・傷害・名誉棄損・侮辱のような刑事事件になり得る行為であれば、パワハラと認められるでしょう。そこに至らないまでも、叱責の方法が被害者にとって非常に強い心理的ストレスを感じる方法・状態で行われた場合(たとえば、他の同僚の面前で公開処刑の如く叱責したり、自分に権力があることを誇示するかのような方法で叱責したりした場合)は、パワハラとして損害賠償の対象になるといえます。

ちなみに最近、増えているのは、「退職勧奨」に絡むパワハラ行為です。退職勧奨そのものは、法律的にも認められていますから、「能力が不足している」とか「待遇と成果が乖離している」ということを告げ、「辞めてもらえないか」と促したとしても、ただちにパワハラとなるわけではありません。もちろん、言われた側はかなりの心理的ストレスを感じるでしょうが、だからといって違法になるわけではないのです。

ただ、退職勧奨に応じない人に対して執拗に退職を働きかけたり、暴力的・脅迫的な方法で退職を迫ったりするような場合は、パワハラ・退職強要として違法になります。万が一、こうした状況に追い込まれた場合は、すぐに弁護士に相談したほうが良いでしょう。

参照:R25

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