2013年7月11日木曜日

経費か営利か…養子あっせん寄付に疑問や批判も

 家庭を失った子どもを迎える養父母に対し、100万円を超える寄付を要求することは許されるのか。

 特別養子縁組を巡って明らかになった民間団体による多額の寄付金受領問題。民間団体側は「活動に必要な経費だ」と主張するが、養父母や児童福祉の専門家からは「高額すぎる」「営利目的と疑われても仕方がない」などと疑問や批判の声が上がっている。

 「子どもを紹介してもらったことには感謝している。でも、これはベビービジネスだ」。数年前、一般社団法人「ベビーライフ」の前身の任意団体「NPOベビーライフ」に乳児のあっせんを依頼し、養子縁組をした40歳代の男性はそう話す。子どもに恵まれず、不妊治療の末に養子縁組の道を選んだ。知人の紹介でベビーライフに登録すると、しばらくして「乳児をあっせんできる」と連絡があった。

 ところが、ベビーライフから100万円の「手数料」を含む約200万円を請求され、戸惑った。男性の妻は「高いお金を取るのはおかしいと思ったが、子どもを紹介してもらった弱みがあるし、年齢的にこの機会は逃せないと思って支払いに応じた」と話す。

 ベビーライフはあっせんの際、実母の出産費用などの実費に加え、「エンジェル・フィー」と称し、現在は一律180万円を請求している。理事の弁護士は取材に「スタッフの人件費や法人の活動費などに充てている。前年度の実績を踏まえ、必要な金額を設定している」と説明した。

 ベビーライフの篠塚康智代表理事は2009年1月、「養子縁組のあっせん」を主な事業目的とする株式会社ベビーライフを設立。所在地は団体と同一で、代表も篠塚氏が務める。同社は団体から委託を受け、団体が養父母に子どもを引き渡すまでベビーシッターに預ける事業で委託料を得ており、篠塚氏は12年に団体から約700万円、株式会社から約110万円の報酬を得たという。篠塚氏は「営利目的のあっせんではなく、(報酬は)労働に対する正当な対価だ」と話した。

 しかし、ベテラン裁判官は「養父母から受け取った金を株式会社に移してしまえば、行政の目も行き届かず、高額な報酬を得ることもできる。児童福祉法に抵触する恐れのある脱法的行為だ」と指摘する。
 
参照:読売新聞

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