2013年7月10日水曜日

<婚外子相続規定>「かつては合理性」「子に責任はない」

 結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)は相続の際、遺産の取り分が嫡出子の半分しかない--。民法の相続格差規定を巡り、最高裁大法廷で10日、当事者の意見を聞く弁論が開かれた。規定への批判は根強く、従来の合憲判断が今秋にも見直される公算が大きくなっている。

 明治時代から引き継がれてきた相続格差規定。「かつては合理性があった」(ベテラン判事)との意見もあるが、「子供に全く責任のない差別。1947年の憲法施行以来、『法の下の平等』に反している」(元最高裁判事の泉徳治弁護士)との指摘もあるほどだ。

 大法廷は95年、「民法が法律婚主義を採用する以上は合理的根拠がある」と指摘し、規定を合憲としたが、裁判官15人中5人が違憲との反対意見をつけた。2000~09年に小法廷が計5回、合憲判断を示した際にも、常に1~2人が反対意見を述べている。うち2件に関わった泉弁護士も「違憲」とした。

 この数年は高裁レベルで違憲判断が相次ぐ。大阪高裁は11年、親子関係に対する国民の意識の多様化をふまえ「いわれない差別を助長しかねない」として違憲とする決定を出し、確定した。東京、名古屋の両高裁も10~11年、個別のケースに限って規定の適用を違憲と判示した。

 大法廷が合憲判断を見直す可能性が高まってきた背景について、棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「家族や社会の変化や国際的な流れ、国連の再三の勧告もある。高裁判断のばらつきを統一する意味もあるのではないか」と指摘する。

 小法廷が合憲判断した裁判のうち最近のものは00年に被相続人が死亡した事例。一方、今回の二つの審判では共に01年に死亡しており、期間の差はわずか1年ほどだ。嫡出子側の弁護士は取材に「社会情勢にそれほど大きな変化があったと言えるのか」と疑問を投げ掛ける。仮に規定を違憲と判断した場合、大法廷がその問い掛けにどう答えるかも注目される。

 婚外子の相続格差 民法900条4号はただし書きで「嫡出でない子(婚外子)の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」と規定。明治時代から引き継がれ、戦後の民法改正でも「法律婚の尊重」という目的で残された。しかし、欧米諸国では平等化の流れが進み、1998年に独、2001年には仏が相次いで規定を廃止。主要先進国で規定が残るのは日本だけとされ、国連からは93年以降少なくとも9回、改善を求められている。
 
参照:毎日新聞

0 件のコメント: