2013年5月20日月曜日

IP携帯転送サービス、悪用相次ぐ 固定電話装い弁護士名乗る

 「IP携帯電話」と呼ばれるインターネット通話の転送サービスを、詐欺などに悪用しようとするケースが相次いでいる。サービスを使うことで、携帯電話端末からでも「03」など固定電話の番号からの発信となるよう設定。東京弁護士会所属の弁護士を名乗り、電話していた。固定電話からの発信を装うことができ、事務所を持っていると誤信させる手口とみられる。

 転送サービスを悪用した振り込め詐欺とみられる電話が相次ぐようになったのは、昨年4月下旬ごろから。山口県下関市の男性宅には弁護士を名乗る男から、こんな電話がかかってきた。「競馬詐欺事件の被害者のお金を返す手続きを担当することになった」

 男は「100万円を返還するが、ある制度を利用するので25万円を送ってほしい」と続け、連絡先として東京23区の市外局番「03」から始まる番号を男性に伝えた。

 不審に思った男性が調べたところ、その弁護士は実在していたが、伝えられた番号は所属事務所とはまったく関係がなかった。弁護士の事務所の電話番号を調べ、問い合わせると詐欺とみられる電話だったことが分かった。

 同じ弁護士の名前をかたった同様の電話は、昨年4月から少なくとも計13件確認されている。ターゲットになったのは、いずれも西日本に住む競馬投資詐欺事件の被害者だった。

 一連の電話で発信元や連絡先に使われた「03」番号は3種類。東京弁護士会が調査したところ、いずれもその番号からIP携帯に転送される設定になっていた。使用された3台の携帯電話端末も、複数の転送業者や販売業者の間で転売が繰り返されていた。

 携帯電話端末は最終的に、詐欺グループの手に渡ったとみられるが、1台については最後に転売した業者が身元確認をしておらず、購入者名は偽名だったことが判明した。別の1台を個人に転売した業者は、運転免許証のコピーを提出させてはいたものの、同会の調査に「免許証の写真と似てないなと思ったが、売った」と話したという。

 同会の中村裕二弁護士は「販売体制がずさんな業者は多く、詐欺グループがいとも簡単に携帯を手に入れることができるのが現状」と指摘。「電話の主が弁護士を名乗ったとしても、必ず所属事務所に確かめてほしい」と呼びかけている。

 【用語解説】IP携帯電話 インターネット回線を使って通話する仕組みで、通常の携帯電話と比べ、通話料金が安いとされている。複数の転送業者が「逆転送」「発着転送」という名称のサービスを提供しており、「03」「06」「045」などで始まる固定電話の番号での発着信ができるようになる。
 
参照:産経新聞

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