2013年2月5日火曜日

【柔道】告発15選手心の叫び「私たちの声は内部で封殺されました」

 ロンドン五輪代表を含む柔道女子15選手が、暴力やパワーハラスメントなどで園田隆二前代表監督(39)らを告発した問題で、選手の代理人を務める辻口信良弁護士(65)らが4日、大阪市内で会見し、選手の声明文を発表した。告発の意図は監督交代だけではなく、全日本柔道連盟(全柔連)の「指導体制の抜本的な見直し」もあると明らかにした。現時点で訴訟などは考えていないが、旧態依然の組織改革を訴えた形だ。

 ロンドン五輪のトップ選手を含む15選手の心の叫びが、一枚の紙にぎっしりとつづられていた。かつて日本初のプロスポーツ選手代理人として元ヤクルト・古田敦也捕手の代理人を務めた辻口弁護士は、「彼女たちの言い分を理解していただきたい。このことがきっかけで風通しのいい柔道界になることを期待している」と会見趣旨を説明した。

 SOSが届いたのは1月20日ごろ。15人の内のある選手から事務所に電話がかかり、「全柔連もJOCも分かってもらえない」と相談を受けた。同監督を戒告処分とするだけで留任させる方針だったことに、「戒告と注意はどう違うんですか?」と失望をあらわにしていたという。声明文では「私たちの声は内部で封殺された」と、聞く耳を持たず、さらに監督辞任で幕引きしようとする全柔連へ不満が噴出した。

 この日の声明文は騒動への謝罪から始まった。続いて「選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤り」と体質への怒りを吐露。「前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任を以て、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません」と、前強化委員長で現在は強化担当理事を務める吉村和郎氏(61)を“名指し”で批判した。

 辻口弁護士によると、選手たちは上村会長や吉村氏に辞任を迫ることは考えておらず、「具体的な改革に結びつけるためのステップを模索している」という。現段階では訴訟などの法的手段に動く予定はない。それでも、同弁護士は「処分は監督だけでは違うだろう、と選手も思っている。抜本的な見直しをお願いしたい」と要求を代弁。5日には全柔連が臨時理事会を開催。日本中が体罰問題に揺れる最中、15人の「声」が世論に強く訴えかけている。

参照:スポーツ報知

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